本記事では、赤き輝き24号に初めてその一部が明らかにされた海軍の大拡張計画、「リヨルズプラン」について詳述する。

計画決定までの経緯

リヨルの国防相就任

 アルフィク共和国の名族の出自であるリヨルは旧アルフィク共和国首相、農林相、工業資源相と要職を歴任してきた。主な業績は工業資源相をつとめていた際、EUST島との外相会談に出席、ガーネット・スター連邦島とEUST島の友好に関する条約の締結に貢献したことなどである。
 このように、文官であるリヨルが国防大臣に就任したのは先頃改訂された「海軍相・陸軍相は武官、その上位組織である国防省は文官が就任する」という規定である。
 これが策定された理由は、国防大臣を陸海軍どちらから出してももう片方の反対が予想されるからとされている。しかし、かつてカルカッソンヌ島との関係が悪化していた時期はともかく、現在陸軍は兵員0、基地や要塞も一切保有しない名目上の組織とかしており、陸軍大臣も空席となっている。つまり、国防大臣を海軍から出しても反対する陸軍軍人は1人もいないのである。
 それにも関わらずこのような規定を定めた背景には内政・外交でともに赫奕たる成果を上げているリヨルを国防大臣に就任させることで軍備の順調な強化を図りたいという大統領の思惑からだともいわれている。このような流れで規定変更が行われた国防大臣にリヨルが就任するのは当然の決定であったといえる。

EUST島の軍備強化

 EUST島はT9567に建国された国家で、我が国より約400ターン早い。しかし、兵備を始めたのは我が国が若干早かった。しかし、ここ数百ターンの間に軍備の増強を開始、T12000現在連邦政府の推定で重巡洋戦艦を8隻、巡洋艦を5隻、揚陸艦を1隻保有している。*1赤き輝き24号(T11995)にも説明されているように、連邦海軍は駆逐艦・フリゲート各5隻、コルベット7隻、揚陸艦2隻と戦闘艦艇の数ではわずかながら上回っているものの、最高で駆逐艦という我が艦隊は沿岸警備用の海軍にすぎず、強力な巡洋艦や戦艦を有するEUST島海軍に比べて大幅に劣ることは否めない。
 陸軍の建設を完全に停止している我が国にとって、海軍力で上回る国家が存在することは危険があり、その国とどのような関係にあるかどうかは関係なく海軍力を増強することが要求されている。EUST島とは現在友好的な関係にあるが、世論はEUST島に比肩しうる海軍を建設することに積極的であった。

内閣の思惑

 海軍軍備の増強が閣議に上った際、これに賛成したのはリヨル国防大臣、リノル広報大臣、ラノル歴史記録大臣の3人、反対したのはルナハ外務大臣、レハル工業資源大臣兼商業大臣の2人であった。ナリヨ農林大臣、ハギワ海軍大臣は投票を棄権、中立の立場を通した。
 先代、当代の歴録相*2、工資相*3の両者が賛成・反対の立場を分けた
のは興味深い。
 また、当の海軍大臣が中立を保ったことも意外であった。海軍大臣は賛成派の筆頭だと考えられていたからである。しかし、海軍の創設時から海軍大臣を務めていたハギワは閣議で連邦海軍の存在意義は周辺海域、せいぜいアークティック洋の海賊を掃討することにあると主張した。すなわち、同海域に有力な対抗勢力が存在しない現在戦艦や巡洋艦などの大型艦艇を建造するために工廠規模を大幅に拡大することは労働力の無駄になりかねないということである。しかし、彼自身もEUST島の海軍増強においていかれることには危機感を感じていたらしく、投票で反対まではしなかった。
 この投票により、賛成3票、反対2票、棄権2票となり海軍の拡張は実施が決まった。具体的にどの程度の海軍を整備するかは決定されておらず、基本案の決定を受けて議会に諮る予定であった。

議会の承認

 後述する決定案はごくあっさりと国会を通過した。これは政府の根回しがどうこうという以前に国会の8割近くを与党が占めており、どうやっても承認されるからであった。野党は反発したものの、その規模からして限界があり、国民の大多数が軍拡に賛成しているとあってはいかんともしがたかった。

計画の内容

重巡洋戦艦

 現在、実質的な能力をほぼ失っているラ・マジョルカ島とはいえ、その威光は今もって健在であり、かの国が定めた航空機の配備禁止規定はどの国にも遵守されている*4。この結果、世界で最も強力な破壊力を持つ兵器はこの重巡洋戦艦ということになる。これを現在EUST島は8隻保有している。本計画ではラ・マジョルカ島のナティフ級重巡洋戦艦をベースに独自の改良を加えた重巡洋戦艦を3個戦隊、12隻建造することとされていた。

巡洋艦

 箱庭世界における巡洋艦はほかの艦艇を圧倒する防御力を持つ。このため、核融合炉による長大な航続距離、化学レーザー中和システムとあわせ「海上の無敵要塞」との異名を持つ。しかし、建造費用が工廠ポイント3500と重巡洋戦艦に匹敵する上攻撃力は重巡洋戦艦500に対し350(レベル1)と、侵攻作戦においてその能力を十分に発揮できないとみられている。
そのためリヨルズプランではアルメンドラ級巡洋艦は1個戦隊、4隻の建造に留め、重巡洋戦艦やフリゲートで巡洋艦の任務を代行させることとしていた。

駆逐艦

 巡洋戦艦偏重の主力艦の建造計画により、護衛艦は攻撃力よりも防御力に優れたフリゲートを主に建造することとなった。これにより、攻撃力に性能が偏り防衛戦闘に能力を発揮できないとされた駆逐艦は建造されないこととされていた。

フリゲート

 前述の通り、主力艦の巡洋戦艦偏重により護衛艦はフリゲートを主力として建造されることになった。とはいえ、国力が大規模海軍を有するはくれえ島、旧ゲルファント大公国諸島、旧カルカッソンヌ島より大幅に劣るため多数の護衛艦を就役させるのは困難である。そのため、リヨルズプランではフリゲート2個戦隊10隻を建造し、現在就役済みの5隻とあわせ15隻のフリゲートを保有することとされていた。

コルベット

 コルベット艦は戦闘能力は低いものの、哨戒用や海賊対策には小型で強武装のこれらの艦が最も有効と判断されている。しかし、アークティック洋は北極圏に位置しており、海賊が航海するには厳しい環境である。また、この地域の各島の住民は本来南方の海洋民族であるものがこの地域に進出、そのまま定住したものであるため海上交通は重要視され海賊対策も古くから発達いた。特に120年前の各国が共同で行った海賊殲滅作戦の結果、海賊と名の付くものはアークティック洋からほとんど姿を消した。
 これらの事情から対海賊戦闘は連邦海軍ではあまり考慮されておらず、リヨルズプランにおいてもコルベット艦は1個戦隊7隻の建造にとどまるとされていた。

揚陸艦

 揚陸艦は戦闘用の艦艇ではないため、どれほどの量を建造するかはそれほど重要ではないと考えるかもしれないが、外交交渉を考えた場合、これはまったくの間違いである。揚陸艦は防衛戦にはなにほどの影響も与えない、純攻撃用の兵器なのである。そのため、これを必要以上に多数建造することは諸外国の不信を招き、外交に悪影響を及ぼす可能性がある。
 そのため、リヨルズプランの策定においてもっとも保有数が慎重に検討されたのがこの揚陸艦であった。現状の2隻に留める案、3隻建造する案などが検討されたが、最終的には海軍基地1カ所に1隻ずつの揚陸艦、計10隻を配備することとなった。これにより、1回の上陸作戦で同時に最大2万人の海兵隊を展開することができるようになる。この配備数は過剰だとする主張も根強かったが、5万人の海兵隊を迅速に展開するには10隻の揚陸艦は絶対に必要だとする海軍庁第3局長*5の強い意向により10隻の建造が承認された。

海兵隊

 リヨルズプランにおいては艦隊のみならず海兵隊の増強も計画された。4個師団+2個旅団、5万人規模の海兵隊を常備し、一朝事あらば第1波2万人、第2破以降で3万人+αの海兵隊を敵国に送り込める体制を整えておくとされる。
 しかしながら、現在の箱庭世界において敵国と戦争を行う機会はほとんど存在し得ず、海兵隊を送り込む「敵国」などというものはそもそも存在し得ないのではないか、という主張もある。これは海兵隊のみならずリヨルズプラン全体の課題でもある。以下に編成された師団・旅団の要目を示す。

師団(旅団)名配備基地兵数編成ターン備考
第1海兵師団西エライ海軍基地10000人T12000以前
第2海兵師団西エライ海軍基地10000人T12000以前エーリック合衆国島侵攻作戦に参加している。
第3海兵師団北アルデラミン海軍基地10000人T12031
第4海兵師団統合軍司令部10000人T12032
第1海兵旅団西エライ海軍基地5000人T12031
第2海兵旅団北アルデラミン海軍基地5000人T12031

リヨルズプランの縮小

財政の崩壊

 これはリヨルズプランのみの影響ではないが、非常に重大な影響であるのでここに特記する。環境維持のために膨大なHEXを森林として用いている連邦の財政は旧来から常に厳しく、これがリヨルズプランの発動後顕在化した。ターン収入をターン支出が上回り、毎ターン数千億円の赤字が財務省にあげられるようになった。木材や鉄鉱石のの急速な輸出により資金を捻出し続けたものの、そもそもの経済基盤が貧弱な我が国において大艦隊の建造維持は非常に負担が大きいとしてリヨルズプランは真っ先に非難のやり玉にあげられた。

資源の供給難

 上記の、資金難によるもの以前に銀鉱石・ボーキサイト・銅鉱石の確保が困難になりつつある現在、大規模な工業規模を要求する大型艦、特に戦艦の建造は非常に困難を極めむしろ不可能であるといってよいとする意見も大きかった。

計画の縮小

 上記2つの理由によりリヨルズプランはT12300に大幅に変更された。もっとも重要な点は、戦艦の大量建造を諦め巡洋艦主体の艦隊に転向した点である。建造が予定されていた12隻の戦艦のうち4隻が完全にキャンセルされ、8隻も無期限延期とされた。代わりに巡洋艦戦隊を予定よりも1個ないし2個増強するとされた。同時に、護衛艦の主力をフリゲートから駆逐艦に変更するなどの措置がとられている。
 その後、戦艦は計5隻、巡洋艦は計8隻建造された。そのころ、EUST島の政府が崩壊、もはや計画遂行の意義は消滅した。

計画の崩壊

 T12771、島主謎の人の開発放棄宣言により、計画は凍結された。また、その直後に発生した大規模食糧危機により経済は崩壊、これまでの海軍力の維持は不可能になった。これにより、T13047に再建された連邦政府はリヨルズプランの放棄と既存艦40隻のうち22隻の廃棄を決定、次のターンに実行された。

計画艦と竣工艦

重巡洋戦艦

命名基準:星座の名

艦名スペル艦名の意味所属就役ターン備考
アーリイズAries牡羊座第1戦艦分艦隊不明
ターラスTaurus牡牛座第1戦艦分艦隊不明
ジェメナイGemini双子座第1戦艦分艦隊不明
キャンサーCancer蟹座第1戦艦分艦隊建造延期
レオLeo獅子座第2戦艦分艦隊不明
バーゴウVirgo乙女座第2戦艦分艦隊不明
ライブラLibra天秤座第2戦艦分艦隊建造延期
スコーピオScorpio蠍座第2戦艦分艦隊建造延期
サディテーリアスSagittarius射手座第3戦艦分艦隊建造中止
キャップリコーンCapricorn山羊座第3戦艦分艦隊建造中止
アクエリアスAquarius水瓶座第3戦艦分艦隊建造中止
パイシーズPisces魚座第3戦艦分艦隊建造中止

巡洋艦

命名基準:銀河・星雲の名

艦名スペル艦名の意味所属就役ターン備考
アンドロメダAndromedaアンドロメダ銀河第1巡洋艦分艦隊T12301
ミルキーウェイ・ギャラクシーMilky Way Galaxy天の川銀河第1巡洋艦分艦隊
ホースヘッド・ネビュラHorsehead Nebula馬頭星雲第1巡洋艦分艦隊
クラブ・ネビュラCrab Nebulaかに星雲第1巡洋艦分艦隊
シグネス・ループCygnus Loop網状星雲第2巡洋艦分艦隊T12302改計画艦
ダンベル・ネビュラDumbbell Nebura亜鈴型星雲第2巡洋艦分艦隊改計画艦
トリファイド・ネビュラTrifid Nebura三裂星雲第2巡洋艦分艦隊改計画艦
マゼラニック・クラウドMagellanic Cloudsマゼラン雲第2巡洋艦分艦隊改計画艦

駆逐艦

命名基準:石の名

艦名スペル艦名の意味所属就役ターン退役ターン備考
アゲートAgate瑪瑙第1駆逐戦隊*6T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
クオーツQuartz石英第1駆逐戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
クリスタルCrystal水晶第1駆逐戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
アメシスト*7Amethyst紫水晶第1駆逐戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
スモーキー・クオーツSmoky Quartz煙水晶第1駆逐戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
ルビーRuby紅玉第2駆逐戦隊改計画艦・建造中止
サファイアSapphire青玉第2駆逐戦隊改計画艦・建造中止
エメラルドEmerald翠玉第2駆逐戦隊改計画艦・建造中止
アレキサンドライトAlexandrite金緑石第2駆逐戦隊改計画艦・建造中止
ダイアモンドDiamond金剛石第2駆逐戦隊改計画艦・建造中止
アクアマリンAquamarine藍玉第3駆逐戦隊改計画艦・建造中止
タイガーアイTigereye虎眼石第3駆逐戦隊改計画艦・建造中止
トパーズTopaz黄玉第3駆逐戦隊改計画艦・建造中止
ムーンストーンMoonstone月長石第3駆逐戦隊改計画艦・建造中止
ターコイズTurquoiseトルコ石第3駆逐戦隊改計画艦・建造中止

フリゲート

命名基準:恒星の名

艦名スペル所属就役ターン退役ターン備考
シリウスSirius第1機動戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
カノープスCanopus第1機動戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
アケルナーAchernar第1機動戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
アークトゥルスArcturus第1機動戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
リゲルRigel第1機動戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
カペラCapella第2機動戦隊T12212T13048最初に建造されたリヨルズプラン戦闘艦艇
プロキオンProcyon第2機動戦隊T12220T13048
ベテルギウスBetelgeuse第2機動戦隊T12223T13048
ハダルHadar第2機動戦隊T12226T13048
アルタイルAltair第2機動戦隊T12229T13048
スピカSpica第3機動戦隊建造中止
アルデバランAldebaran第3機動戦隊建造中止
アクルックスAcrux第3機動戦隊建造中止
ポルックスPollux第3機動戦隊建造中止
アンタレスAntares第3機動戦隊建造中止

コルベット

命名基準:小惑星の名

艦名スペル所属就役ターン退役ターン備考
パラスPallas第1偵察戦隊*8T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
ジュノーJuno第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
ベスタVesta第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
アストラエア*9Astraea第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
へーべHebe第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
イリスIris第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
フローラFlora第1偵察戦隊T12000以前T13048前リヨルズプラン艦
メティスMetis第2偵察戦隊建造中止
ヒギエアHygiea第2偵察戦隊建造中止
パルテノペParthenope第2偵察戦隊建造中止
ヴィクトリアVictoria第2偵察戦隊建造中止
エゲリアEgeria第2偵察戦隊建造中止
イレーネIrene第2偵察戦隊建造中止
エウノミアEunomia第2偵察戦隊建造中止

揚陸艦

命名基準:準惑星以上の太陽系天体

艦名スペル艦名の意味就役ターン備考
マーキュリー*10Mercury水星T12000以前前リヨルズプラン艦
ビーナスVenus金星T12000以前前リヨルズプラン艦
マーズMars火星T12032
ジュピュターJupiter木星T12033
サターンSaturn土星T12034
ウラヌスUranus天王星建造中止
ネプチューンNeptune海王星建造中止
アースEarth地球建造中止
プルートPluto冥王星建造中止
ケレスCeresケレス建造中止

*1 T13000現在、巡洋艦の隻数は大幅に増強され、最低でも12隻は保有しているとみられている。
*2 先代歴録相はルナハ、一時は外相と兼務
*3 先代工資相は先述の通りリヨル
*4 もちろん、これはスクリプト上で航空機の配備コマンドが実装されていないからであるが、そんなことはいいっこなし。
*5 第1局が艦隊、第3局が海兵隊、第4局が周辺海域の治安維持、第5局がその他となる。第2局は防空を担当する予定だが、現在のところその局は存在しない。
*6 第1駆逐戦隊はエーリック合衆国島侵攻作戦に参加している。
*7 アゲート級駆逐艦4番艦アメシストはUSE島侵攻作戦の時に第1機動艦隊旗艦を務めている。
*8 第1偵察戦隊はエーリック合衆国島侵攻作戦に参加している。
*9 パラス級コルベット4番艦アストラエアは)USE島侵攻作戦の時に第1偵察戦隊旗艦を務めている。
*10 マーキュリー、ビーナス、マーズ、ジュピュター、サターンの5隻はエーリック合衆国島侵攻作戦の時に海兵隊1個師団の輸送任務に就いている。

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Last-modified: 2016-05-22 (日) 22:18:46 (2896d)